パート依然厳しい氷河期世代 高齢フリーターは増加

 パートや高齢フリーターは卒業時に「就職氷河期」とぶつかった二十代後半から三十代の雇用の改善が進んでいない。非正規社員の割合は低下せず、高齢フリーターも増加傾向。政府は「底上げ戦略」の柱に就職支援の拡充を掲げるが、新卒者中心の採用や乏しい訓練機会の壁はなお厚い。景気拡大で雇用情勢が好転する中、取り残される恐れも出ている。

 「正社員と同じ仕事なのに待遇が違う」「経験を評価してほしい」。派遣大手のインテリジェンス(東京)が、フリーターらを対象に、正社員を目指す研修を昨秋から都内で始めた。受講者は三十歳前後が大半を占め、不満が口をついて出る。

 四日間で約三十時間の研修にはこれまでに計約百人が参加。同社の滝幸子企画統括部マネジャーは「非正規社員は組織の一員として課題を見つけ取り組む姿勢に欠ける」と指摘する。訓練を受ける機会がなく基礎的な職業能力が乏しいとし、グループで喫茶店の再建計画を練る実戦的なカリキュラムも取り入れた。

 厚生労働省によると、二○○六年のフリーター人口(十五―三十四歳)は百八十七万人で、○二年の集計開始以来初めて二百万人を切った。柳沢伯夫厚労相は「基本的に正社員化している」と述べ、雇用の安定化が進んでいると評価した。

 しかし、フリーター統計に入らない三十五―四十四歳のパート・アルバイト(既婚女性は除く)は○六年で前年比二万人増の三十二万人と最多で、「高齢フリーター」は増加傾向。派遣なども含めた非正規社員の比率も、二十五―三十四歳が0・9ポイント増の25・2%、三十五―四十四歳も0・8ポイント増の27・4%。フリーターは減少しても非正規社員は増えている。

 政府は二月の「成長力底上げ戦略」で訓練や技能検定などの拡充を検討するとし、厚労省幹部は「中小企業の職業教育への需要は多い」とみる。ただ、「企業は中途採用者に即戦力となる経験や技能を求める。そうした力を一般的な『研修』によって身に着けられるかどうかは疑問だ」(大手生保系アナリスト)と、懐疑的な声もある。

 新卒採用がバブル並みの売り手市場とされ、景気回復による雇用情勢は好転しつつある。しかし、労働政策研究・研修機構の小杉礼子統括研究員は「非正社員は非正社員のまま滞留しやすい」として、「恩恵」が及ばない事態を懸念している。

中国新聞 - 2007/3/21